和牛のウンチク
「和牛ってなんでこんなに美味しいの? 同じ牛なのにどうしてこんなに味が違うの?」
簡単に言ってしまえば、、、肉質のランク,品種、産地、飼料、性別、肥育期間、血統の違いです。
肉質のランク・・・・社団法人日本食肉格付協会という所が定めた規格によって決められています。肉質等級は、
「脂肪交雑」(霜降りの具合)
「肉の色沢」(肉の色とツヤ。ピンクっぽい色でツヤのあるものが良い)
「肉の締まりおよびきめ」(締まりがよくてキメの細かいものが良い)
「脂肪の色沢と質」(低温でサラリと溶けて、色は乳白色がよい)
以上の4項目で判断されます。
アルファベットのA、B、Cの三段階あり、そのなかで5段階に分かれています。
A5(最高)〜C1(最低)まで15段階あります。
品種・・・・・・・・・皆さんも御存知の通り、野菜や果物など品種は様々有ります。牛にも様々な品種があり、
食肉に最適な品種もあれば、牛乳を取るのに適している品種も有ります。
産地・・・・・・・・・いろんな産地がありますが、何処の産地が一番と聞かれても解りません。
ていうか困りますね。ただ、一つ言える事といえば気候です。
和牛を育てるにあたって最高の気候というのは
1、昼と夜の寒暖の差が大きい地域・・・・・温度差が激しいと、牛の体質が脂肪を蓄えやすくなります。
2、夏は涼しく、冬の寒さが厳しい地域・・・夏涼しいと夏バテしないので食欲が落ちず、
夏もたくさんエサを食べます。冬の寒さが厳しいので、それに備えて脂のノリが違ってきます。
以上の条件を満たしている地域です。有名な産地を思いうかべて見てください。
有名な産地はどこも、この条件を満たしています。
飼料・・・・つまり、エサの事。牛は草しか食べないと思っている方もいるかもしれませんが、穀物も食べます。
て言うか、穀物(トウモロコシ、豆、粟)などのほうが好きなんです。草よりカロりーも高いので
脂のノリも良く、香りも良くなります。
ビタミン、ミネラル、食物繊維の摂取のために草も食べさせますが、その草もいちどサイロに詰めて醗酵させた
栄養価の高いものを与えてるほうが良いです。あと、牛にビールなんか飲ませたりする事も同じ理由からです。
性別・・・・雄より雌のが肉質は良いです。人間もそうですが、男性のが筋肉質でしょ?筋繊維が太いので固いんです。
肉牛では雌の未経産牛(出産を経験していない牛)が美味しいです。(出産すると子供に栄養取られちゃうからね)
肥育期間・・・どんな生き物でもそうですが歳をとると体が固くなります。=肉が固くなります。
(歳はとりたくないですね〜笑)ちなみに牛の場合は30ヶ月〜36ヶ月くらいです。
血統・・・・・・・当然、肉質に遺伝は関係します。
■国産牛はホルスタイン種などの乳用種と、乳用種と肉用種を交雑させた交雑種(F1)です。
乳用種の生産は、乳の出なくなった廃牛を出荷するものと、
雌の人工出産により生まれた雄の子牛を18か月間飼育し去勢したものなど。ホルスタイン種は乳用種なので、
肉自体は肉用専用種の和牛や輸入牛(肉用種)よりもだいぶ劣ります。
ちなみに
表示としては「和牛」とあれば肉用種、単に「牛肉」とあれば乳用種または交雑種です。
「黒毛和牛」とは表示していないので注意が必要。
例)コンビニのお弁当に黒毛牛弁当がありますが「黒毛和牛」とは書いてありません。
黒毛牛は黒毛和牛ではありません。ブラックアンガス種で輸入牛です。飛騨黒毛牛、前沢黒毛牛など。
あたかも和牛のようで、わざと間違わせているかのようです。(要注意!!)
じゃあ和牛って?
日本には、黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4種類の肉牛があります。
味の良い和牛としては但馬牛、近江牛、米沢牛などが有名。
松坂牛は但馬牛を特別に松坂で肥育したもの。
但馬牛は神戸牛としても販売されている。
黒毛和牛 (くろげわぎゅう)・・・・かつては日本の水田耕作と密接に結びついた役肉牛として長年にわたって
改良されてきたが、近年は肉用種として改良が進められている。
肉質はほかの品種と比べて優れている。
黒毛和種(松坂牛、神戸牛、近江牛など)が、和牛の9割を占めています。
日本短角種 (にほんたんかくしゅ)在来種にイギリス原産のショートホーン種を交配して改良を図ったもの。
青森、秋田、岩手の3県と北海道で飼育されている。放牧に適し、
比較的体重の増加も大きいが、肉質は黒毛に比べてやや劣る。
褐毛和牛 (かつげわぎゅう)・・・・熊本系のものは肥後の褐毛、高知系のものは土佐の褐毛と呼ばれている。
熊本系のものは産肉量の点では黒毛和牛に勝るが、肉質の面では劣る。
高知系のものは黒毛和牛の肉質に近い。
無角和牛 (むかくわぎゅう)・・・・在来種にイギリス原産のアンガス種を交配して作り出されたもの。
山口県の萩市とこれに隣接する阿武(あぶ)郡に飼育されている。
黒毛和牛に比べて早熟早肥で枝肉歩留まりも高く、飼料の利用性に富む。
和牛の安全性
国内においては、食用として処理されるすべての牛についてBSE検査を実施するとともに、と畜・解体時にすべての牛の特定部位(specified risk material)の除去・焼却及びこれらにより食肉等が汚染されることのないよう衛生的な処理が義務づけられています。
■トレーサビリティシステム
「トレーサビリティー・システム」・・・この言葉は「トレース(追跡する)」と「アビリティー(可能性)」をくっつけた造語です。購入したお肉がどんな経路をたどってきたのか、さかのぼって調べることが出来る仕組みです。原々種牛の育種から生産〜流通〜販売まで全てが明確であり、情報公開ができます。生産現場を全て見る事が可能です。
つまり、世界一厳しい検査体制をとっている日本の和牛は世界一安全で美味しいお肉だと言えます。
最後に・・・・・・
和牛の事、少しは解っていただけたでしょうか?だらだらと長いウンチクになってしまいましたが最後までお読み頂きありがとうございました。
どうしてこんな専門的な知識を皆さんにお伝えしたいのか?その訳はですね。BSE騒動以降、牛肉の偽装表示事件などいろいろな問題が持ち上がっています。
誰もが知っているような大手のスーパー、食肉メーカーが輸入牛を国産牛と偽って平気で販売したり・・・・。悲しい事ですが、今までそんな事が当たり前の様に行われていました。
(今でも平気でやっているトコもありますけど) そんな業者がいた為に「和牛は高いだけで、ちっとも美味しくない」とか「牛肉なんてどれも同じ」って思っている方が
たくさんいらっしゃいます。そりゃそうですよね。和牛ってだまされて輸入物食べていたのですから。事実、私も本当の和牛という物を食べるまでそんなに変わらないと思っていました。
(輸入牛肉がダメという意味ではありません。輸入物には輸入物の良いところがあります。念のため) この仕事に就いてから、こだわりをもった多くの畜産家、精肉店の方々の努力と苦労を知りました。良質の和牛を少しでも安価にと懸命に努力されています。しかし、真面目に頑張っている和牛生産農家の置かれた現状はとても厳しいものです。和牛生産農家は
BSE騒動を境に減少の傾向にあります。この先もしかしたら和牛は本当に我々の手に届かない食材になってしまうかも知れません。和牛の真価がもっと広まれば・・・もっと身近な
物になればいいなと思います。確かに輸入牛肉に比べれば値段は高いですし、最高級の和牛を一般の消費者が入手することはとても難しいです(数が少ないですから)。でも、死ぬまでに一度でいいですから(大袈裟かな?)最高級の和牛を物を召し上がって頂ければ幸いです。食べて頂ければきっとその価値を理解いただける事と思います。